怖くない怪談コレクション「本所七不思議」を10個(笑)集めました
本所には七不思議があります。
七不思議と言っているわりには、8つか9つあるっぽい本所七不思議。
その恐ろしさと言ったら…
Contents
本所七不思議その一:燈無蕎麦(あかりなしそば)
場所:本所南割下水あたり。南割下水は今の北斎通りにあった排水路です。
割下水詳細はこちらに
江戸の頃、本所南割下水あたりには毎夜二八そばの屋台が並んでいたが、いつも行灯の消えている屋台があり、主人の姿もない。
その行燈に火を入れた者は、とんでもない不幸に見舞われるという…
なんでわざわざ人んちの行燈に火をともすの?
本所七不思議その二:送り拍子木
場所:割下水あたり
割下水あたりで拍子木を打ちながら「火の用心」とやっていると、背後から同じ拍子木の音が繰り返される。
誰かがついて来ているのかと振り返っても誰もいない。
いや反響だろう。
本所七不思議その三:送り提灯
送り拍子木の提灯バージョンと言われるお話。場所も同じ割下水あたり
夜、割下水の辺りを歩くと、前方に提灯の明かりが現れる。
振り返ると明かりは後ろへ回り、追いかけると消え、消えたと思うとまた現れる。
親切じゃん。
本所七不思議その四:津軽の太鼓
場所:今は緑町公園(北斎美術館前)になっている津軽越中守のお屋敷
火災を知らせる警鐘は板木を使うのが普通なのに、津軽上屋敷では、太鼓を打ち鳴らす。
たいそう不思議なことよ…
何が不思議か分からない。
火の見やぐらに設置された板木を鳴らすと太鼓の音がした。
板木もあったのね。
本所七不思議その五:足洗邸
場所:味野岌之助(あじのきゅうのすけ)の旗本屋敷は、本所三笠町、今の亀沢町4丁目のあたりにありました。
味野岌之助の旗本屋敷では、毎晩天井から足が出てきて「足を洗え」と言う。
洗ってやると足は天井裏へ消えるが、また次の晩になると出てきて、洗うまで家中を踏み散らかす。
味野からその話を聞き興味を持った同僚と屋敷を交換すると、それっきり足は現れなくなった。
まさか家交換しようと言われるとは思わずホラ話しちゃったのね。
本所七不思議その六:置いてけ掘
場所:二つの説があります。
ひとつは、本所南割下水の西端あたり、今の江戸東京博物館から日大一高辺りは、江戸時代には資材置き場(御竹蔵)で、お堀が蔵を囲んでいました。
墨田区の設置している高札「置いてけ堀」はこちらに建っています。
二つ目の説は、錦糸堀公園。錦糸町駅南側、京葉道路を南にわたってちょっと行ったところです。
錦糸堀公園には、「置いてけ堀」の舞台であるとして河童の像が建てられています。
お堀でたんまり魚を釣った町人が帰ろうとすると、お堀の中から「置いてけ」という声が…
ビビって逃げ帰ったた町人の魚籠(びく)には、釣ったはずの魚が一匹も入っていなかった。
釣れなかったことを言い訳するのに、こうまでオリジナリティを出されては、女房も怒るに怒れまい。
「おいてけ掘」は、改造社の書籍に収載されたことがあるみたいで、青空文庫にありました。
最後はのっぺらぼうの話になってる…。
江戸ののっぺらぼうは、現代の都市伝説みたいなものだったのでしょう。
※青空文庫は著作権の切れた小説作品を集めたサイトで、無料で読めます。
本所七不思議その七:狸囃子
場所:今一つ判然としません。本所中学校あたりでお囃子が聞こえたという話があるみたいです
本所中学校は、王貞治氏の母校ですね。
囃子の音に誘われて音の方向へ進んでも何もなく、本所割下水辺りで囃子が消えてしまう。
狸の仕業に違いない。
柳橋のお座敷の音でしょ。
本所七不思議その八:落葉なき椎
場所:現在の旧安田庭園の近くにあった平戸新田藩松浦家上屋敷
平戸新田藩松浦家の上屋敷の椎の木は、まったく葉を落とさない。
だって常緑樹だから。
本所七不思議その九:片葉の葦
両国橋東詰近くにあった隅田川脇掘の駒留橋のお話。
美しいお駒につれなくされた留蔵が、お駒の片手片足を切り落として掘りに投げ込んだ。
以来、お堀周辺の葦はいつも片方の葉しかつけなくなった。
ひとつだけでも怪談らしい話があってほっとしたわ。
発見!10個目の本所七不思議「弓屋敷の矢声」
十個目なのに七不思議とはこれいかにって話ですが、七不思議と言っても誰かが正式に定めたわけでもなく、江戸の人々があれこれ話す与太話がいくつかあって、「七つならいい感じじゃね?」くらいのものでしょう。
で、もうひとつ見つけました本所の怪談。
話の中では、「これで本所七不思議は八不思議になった」と語られています。
場所:本所錦糸堀あたり
「弓屋敷の矢声」
本所錦糸堀あたりでは、夜になると、そこあるはずの染物屋が消え、かわりに武家屋敷が現れると噂になっていた。
武家屋敷に近づくと中から掛け声がし、矢を射る音がする。その射法は弓道日置流の呼吸そのもの。
ある日信濃の猟師が染物屋を訪れ、評判の化け物を退治してやると言う。
夜更け、猟師の男は中庭へ。
ほどなくしていつもの矢走の音が聞こえるが、猟師の男は笑い飛ばし「今度は俺の番だ」
猟師が掛け声もなく放つ矢の音が三度聞こえたと思うと後には何の音もない。
しばらくして戻って来た猟師が「幽霊にもらった」という巻物は日置流の系図だった。
こうして名もなき猟師は日置流の家元となったのである。
信濃の猟師が入念な仕込みで家元に収まるサクセスストーリーですね。
「弓屋敷の矢声」全文はこちらに
意外なことに…というのもなんですが、原著ではわりと怖いです。
本所七(くらいの)不思議。他にもあるかもしれません。